根管治療中の仮蓋とは?役割や注意点、取れたときの対処法を解説!

こんにちは。東京都文京区「江戸川橋駅」より徒歩1分にある江戸川橋菊地歯科医院です。

鏡を見る女性

根管治療は、虫歯や歯の感染が進行し、歯の神経まで影響を及ぼした場合に行われる治療です。治療過程において、仮蓋が使用されることがあります。仮蓋とは、根管治療中の歯を一時的に保護するために用いられるカバーのことです。

しかし、仮蓋は時に取れたり欠けたりすることがあり、その際の適切な対処法を知っておくことが重要です。

この記事では、根管治療中の仮蓋について、その役割や注意点、取れたときの対処法について解説します。

根管治療中の仮蓋とは?

根管治療の仮蓋イメージ

仮蓋(かりぶた)は、治療中の歯を一時的に保護するために使用されます。特に、虫歯治療や根管治療の途中、または歯を削って型を取った後に使用される歯のカバーです。仮蓋は最終的な治療が完了するまで使用し、治療完了後には取り除かれます。

仮蓋は、治療途中の歯を外部の刺激から守り、また患部の感染リスクを低減するために重要です。仮蓋と似た用途で使用される仮歯とは異なります。

仮歯は、主に前歯部の見た目の改善や臼歯部の噛み合わせの安定を目的とした一時的な人工的な被せ物(クラウン)です。仮蓋と仮歯はそれぞれ使用する目的が異なるため、どちらを使用するかは治療計画に応じて選択されます。

根管治療中の仮蓋の役割

根管治療中の仮蓋の役割を説明

虫歯が根管、つまり歯の根部分にまで及ぶと、歯髄(歯の神経)が侵されます。激しい痛みを伴うため、根管治療を行って改善します。

根管治療では、感染した歯髄を除去し根管内を清掃・消毒してから、根管を充填します。この治療は複数回にわたって行う必要があり、一般的には2回から5回程度治療します。

仮蓋の役割は、治療中に根管内が再び細菌に汚染されることを防ぐことです。仮蓋を用いて治療部位を一時的に封鎖することで、外部からの細菌侵入を防ぎ、治療部位を保護するのです。

仮蓋を使用することで、根管治療中の歯を安全に保護し、治療の成功率を高めることができます。仮蓋は治療の進行状況に応じて取り外しや交換が行われ、根管治療が完了した後は最終的な被せ物(クラウン)に置き換えられます。

仮蓋の種類

仮蓋の種類イメージ

仮蓋は、使用される素材によって、レジンタイプ、セメントタイプ、天然ゴムタイプの3つに分けられます。それぞれの特徴について解説していきます。

レジンタイプ

レジンタイプの仮蓋には、デュラシールとP.T.シールという2つの種類があります。

デュラシールは、粉末と水を混ぜてペースト状にし、治療部位に塗布します。約30分で硬化し、主に詰め物(インレー)の歯型を取る際に使用されます。

P.T.シールは、シリンジを使用して直接歯に塗布し、特殊な光を約20秒照射することで完全に硬化します。これも主に詰め物(インレー)の歯型を取る際に用いられる材料です。

レジンタイプの仮蓋は、素早く硬化するので治療をスムーズに進めることができるのが特徴です。

セメントタイプ

根管治療中に使用される仮蓋には、セメントタイプもあります。セメントタイプには、ケタック、キャビトン、ユージマーという3つの種類が存在します。

ケタックは、粉末と水を混ぜてペースト状にして治療部位に使用します。約30分で硬化し、主に根管治療の際に使用される素材です。

キャビトンは水硬性セメントで、水分の存在下で硬化する特性を持っています。ペースト状のキャビトンを直接歯にのせるだけで硬化するため、根管治療の途中や歯型を取った後など、幅広い場面で利用されます。

ユージマーは、粉末と専用の液体を混ぜてペースト状にして使用します。主に被せ物(クラウン)の土台となるコアの型を取った後に使用されます。

天然ゴムタイプ

根管治療中に使用される仮蓋の種類には、天然ゴムタイプのストッピングもあります。

ストッピングは、スティック状のゴムを専用の器具に挿入し、火で加熱することにより液状にします。加熱後、器具の先端から液状のゴムが出てくるので、これを治療部位の歯に塗布します。

塗布後は冷めることで自然に硬化し、仮蓋として機能します。

仮蓋を入れているときの注意点

仮蓋を入れているときの注意点イメージ

仮蓋を入れているときは、取れたり欠けたりしないよう、取り扱いに注意が必要です。以下に、仮蓋を入れているときの注意点について解説します。

仮蓋で噛むのを避ける

仮蓋は、装着直後は柔らかい状態です。時間が経過するにつれて硬化し、かなりの硬さになります。

そのため、患者さんの中にはその部分で食べ物を噛んでも大丈夫だと誤解し、実際に噛んでしまう方がいます。

しかし、仮蓋は食事をするために設計されていません。仮蓋が装着されている部分で硬いものを噛むと、仮蓋が外れたり、異常に摩耗して穴が開いたりしてしまう可能性があります。

そのため、仮蓋が装着されている間は、その部分で硬い食べ物を噛まないように注意することが重要です。

仮蓋を触らない

無意識のうちに舌で仮蓋を触る方が非常に多いですが、取れる可能性があるため極力触らないことが大切です。特に、仮蓋を装着してから時間があまり経過していない段階では、仮蓋が完全に硬化していないため取れやすいです。

仮蓋を安定させ、治療部位を保護するためにも、仮蓋への刺激を避けることが重要です。

仮蓋は優しく磨く

仮蓋は、厳密に型を取って作られたものではなく、単に材料を歯の上に乗せて蓋をしただけのものです。完全にフィットしているわけではなく、段差に食べカスが引っかかることがあります。そのため、歯ブラシを使用する際は注意が必要です。

仮蓋周囲をきれいにしようと力を入れてブラッシングをしていると、仮蓋が外れてしまうことがあります。仮蓋は通常、最長でも1週間程度しか使用しないため、周囲は軽くブラッシングするだけで十分です。

仮蓋が取れたときの対処法

仮蓋が取れたときの治療

仮蓋が大きく欠けたり取れたりした場合は、早急に歯科医院を受診する必要があります。以下に、仮蓋が取れたときの対処法について詳しく解説します。

次回の診察日まで様子を見る

仮蓋が少し欠けただけの場合は、慌てる必要はありません。次の診察日まで様子を見ても良いでしょう。

しかし、仮蓋の一部が欠けると、それが原因でさらに欠けたり完全に外れたりする可能性があります。そのため、仮蓋が欠けた際は、食事や歯磨きに気を付けましょう。

心配であれば、早めに歯科医院に相談しても構いません。

歯科医院を受診する

仮蓋が大きく欠けたり完全に取れたりした場合は、速やかに歯科医院を受診することが重要です。次の診察日を待たずに対応する理由は、仮蓋がない状態で放置すると細菌が繁殖しやすくなり、治療部位の感染リスクが高まるためです。

根管治療を受けている場合、中にはまだ神経が残っていることもあるでしょう。神経を完全に取り除いて空っぽにしていることもありますが、神経の有無に関わらず、仮蓋が取れた状態を放置するのは避けたほうがいいです。

仮蓋は根管治療中の歯を保護するためのものであり、その機能が失われると治療成果に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、仮蓋が取れたら迅速に歯科医院を受診してください。

まとめ

歯の模型

根管治療は、重度の虫歯や歯根部の感染に対する重要な治療法であり、この過程で仮蓋が必要になります。仮蓋は治療中の歯を保護し、細菌の侵入を防ぐ役割があります。

仮蓋の種類には、レジンタイプ・セメントタイプ・天然ゴムタイプがあり、それぞれの状況や治療段階に応じて選択されます。

仮蓋を装着している際は、硬い食べ物を避け、直接噛まないようにすることが大切です。また、取れるリスクを避けるために、仮蓋周辺を執拗に磨く、舌で触るなど、刺激を加えないようにしましょう。

仮蓋が欠けたり取れたりした場合は適切に対処しなければなりません。小さな欠けの場合は慌てず、取り扱いに注意しながら次回の受診日まで様子をみましょう。

仮蓋が大きく欠けたり完全に取れたりした場合は、速やかに歯科医院を受診してください。根管治療の過程では、細菌の侵入と繁殖を防ぐために仮蓋が非常に重要です。

根管治療を検討されている方は、東京都文京区「江戸川橋駅」より徒歩1分にある江戸川橋菊地歯科医院にお気軽にご相談ください。