根管治療で行う根管充填とは?術式も詳しく解説!
こんにちは。東京都文京区「江戸川橋駅」より徒歩1分にある江戸川橋菊地歯科医院です。
虫歯が歯の神経にまで達した場合、歯の神経を除去して根っこを治療する必要があります。歯の根っこの治療のことを歯科用語では根管治療と呼び、その治療のなかには根管充填という工程も含まれます。
患者さんにとって聞き慣れない言葉のため、どのような治療を行なうのか不安に感じることもあるでしょう。
根管治療は、歯の根の中の感染した神経や血管を取り除き、専用の器具を使用して掃除と殺菌・消毒を繰り返して根の中を綺麗な状態にする治療です。根の中が綺麗になったあとは、空洞になった根っこに殺菌作用のある薬剤と専用の素材を詰める根管充填を行います。
根管充填をきちんと終えることで、痛みの再発を防げるのです。
今回は、根管治療で行う根管充填や術式について詳しく解説します。
目次
根管治療で行う根管充填とは?
根管治療で行う根管充填とは、細菌に感染した歯の根っこの中を専用の器具を使用して綺麗にし、殺菌・消毒したあとに、空洞になった歯の根っこに殺菌作用のある薬剤とガッタパーチャと呼ばれる素材を詰める工程をいいます。
根管治療で根管充填を行う目的は、以下の3つです。
- 歯の根っこに細菌が侵入するのを防ぐ
- 歯の根っこのスペースを埋めて細菌の増殖を防ぐ
- 歯の根っこの破折を防ぐ
それぞれ詳しく解説します。
歯の根っこに細菌が侵入するのを防ぐ
神経を除去した歯の根っこには再び細菌が侵入する可能性があるため、それを防ぐ必要があります。
細菌が歯の根っこに侵入すると、歯の成分を栄養にして細菌は増殖し、歯の根っこの先で炎症を起こします。炎症を起こすと再び根管治療を行なう必要があるため、歯の根っこに細菌が侵入しないように根管充填を行う必要があるのです。
歯の根っこのスペースを埋めて細菌の増殖を防ぐ
根管治療では、ファイルと呼ばれる器具を使って歯の根っこの中の掃除を行い、綺麗になるまで殺菌・消毒をつづけます。
しかし、どんなに根管治療をつづけても根っこの中を完全な無菌状態にすることは不可能であり、細菌は少なからず残ってしまいます。
歯の根っこにスペースがあると、中に残った細菌は歯の成分を栄養にして増殖します。そのため、歯の根っこに残った細菌がこれ以上増殖しないようにスペースを埋める根管充填を行う必要があるのです。歯の根っこのスペースを埋めることで細菌が増殖する場所をなくせます。
歯の根っこの破折を防ぐ
根管治療では歯の根っこの内側を削るため、根っこが薄くなります。歯の根っこが薄くなると破折しやすくなり、破折すると歯を残すことができなくなるため抜歯が必要になる場合があるのです。
根管充填を行うことで、薄くなった歯の根っこを内側から補強して破折を防ぐことができます。根管充填には、根っこのスペースを埋めるだけでなく、根っこを破折から守る役割があるのです。
根管充填の術式
根管充填の術式には、以下の2つの方法があります。
- 側方加圧充填法
- 垂直加圧充填法
それぞれ詳しく解説します。
側方加圧充填法
側方加圧充填法とは、根管内にガッタパーチャという詰め物と薬剤を挿入し、スプレッダーと呼ばれる専用の器具でガッタパーチャを側面から押して加圧する方法です。
手順は、スプレッダーでガッタパーチャの側面に圧を加えるとスペースが空くので、そのスペースにアクセサリーポイントと呼ばれる小さめのガッタパーチャを挿入します。
再度スプレッダーで側面を押して、スペースがなくなるまでアクセサリーポイントの挿入とスプレッダーでの側面の圧迫を行います。
根管内がガッタパーチャで埋まったら、ヒートプラガーと呼ばれる、熱することでガッタパーチャを焼き切ることができる器具を使用して、ガッタパーチャを焼き切ります。
ガッタパーチャは樹脂でできたゴム状の素材です。熱を加えると柔らかく変形するため、焼き切ることができます。そのあとに熱していないプラガーで隙間ができないように押し込み、根管充填が完了します。
日本の歯科医院のほとんどが、この側方加圧充填法を採用しているともいわれており、側面から加圧するため歯根が長い症例にも対応できます。
垂直加圧充填法
垂直加圧充填法は、根管内にガッタパーチャと薬剤を挿入し、スプレッダーでガッタパーチャを上から下に垂直に押して加圧する方法です。
手順は、メインとなるガッタパーチャを挿入後、垂直加圧充填専用のヒートプラガーを熱してガッタパーチャを焼き切ります。その後、熱していないプラガーで垂直にガッタパーチャを押し込みます。
そのあとに垂直加圧充填専用のニードルを根っこの中に挿入し、熱したアクセサリーポイントを挿入します。プラガーでガッタパーチャを垂直に押し込み、根っこの中に適量充填できれば根管充填が完了します。
垂直加圧充填法は、根っこの先が複雑な形状をしている場合などに向いており、垂直方向からしっかりと加圧するので密閉性が高い治療法ともいわれています。
ただし、垂直加圧充填法は、薬を根の先から押し出すリスクがあるため、治療の技術や経験が必要といえるでしょう。また、専用の器具や材料が必要になるため、どの歯科医院でも治療ができるわけではないことを知っておきましょう。
根管充填後に痛みが出ることはある?
根管治療が終わっても、根管充填後に何らかの理由で痛みが出る場合があります。治療が終わったあとに痛みが出ると不安になることもあるでしょう。
根管充填後に痛みが出る理由は、以下の5つが考えられます。
- 治療後は歯に一定の負担がかかる
- 充填した薬剤が押し出されている
- 治療できていない根っこが残っている
- 仮歯が合っていない
- 歯の根っこが破折している
それぞれ詳しく解説します。
治療後は歯に一定の負担がかかる
根管充填は、歯に一定の負担がかかるため治療後に痛みが出ることがあります。
根管充填は、殺菌作用のある薬剤やガッタパーチャなどの素材を根っこの中に詰め込む処置のため、歯と周りの組織に刺激があり一定の負担がかかります。そのため、根管充填から数日は痛みが出る可能性がありますが、徐々に治まることがほとんどです。
この根管充填後のある程度の痛みや違和感は仕方のないことであり、問題ないといえるでしょう。
充填した薬剤が押し出されている
根管充填後の痛みが1〜2週間たっても治まらない場合や、噛んだときに強い痛みを感じる場合は、充填した薬剤が根の先に押し出されて周囲を刺激している可能性があります。
経過観察で様子を見ることで症状が改善する場合もありますが、症状の改善が見られない場合は外科的な治療が必要なケースもあります。
治療できていない根っこが残っている
根管治療ができていない根っこが残っている場合にも痛みが出る可能性があります。これは上の歯の前から6番目の大臼歯には肉眼では見えない根っこが存在することがあるためです。
ほかの歯の根っこよりも細いため、気づかないことも多く、処置されないまま根管充填まで治療が終わると痛みが残る原因となります。
マイクロスコープと呼ばれる顕微鏡を使用して根管治療を進めることで、未処置の根っこを見落とすことを防げる可能性が高いですが、歯科医院によってもマイクロスコープの使用の有無は異なります。
仮歯が合っていない
根管充填後には、被せ物(クラウン)を作る準備として仮歯を装着します。
しかし、この仮歯の噛み合わせが合っていないと痛みが生じることがあります。噛み合わせが強すぎると噛むたびに根っこに刺激が伝わり、痛みや炎症を引き起こす原因となります。
このような場合は、仮歯の高さを調整して歯に加わる負担を減らすことで痛みを改善できるでしょう。
歯の根っこが破折している
仮歯の調整などを行っても痛みが1カ月以上つづくような場合は、歯の根っこにヒビが入るなど破折している可能性があります。歯の根っこが破折しており、隙間から細菌が侵入して炎症や腫れを引き起こすと、抜歯が必要になることもあるでしょう。
歯の根っこの破折は、マイクロスコープなどで確認しないと見えないこともあるため注意が必要です。
まとめ
根管充填は、根管治療の工程の1つであり根管治療の最終的な処置です。
根管充填の術式には側方加圧充填法と垂直加圧充填法の2つがあり、歯科医院や充填する歯の状態によって採用する術式は異なります。
根管治療は、歯の根っこの中に専用のガッタパーチャという詰め物と薬剤を充填することで細菌の侵入と痛みの再発を防ぎます。そのため、根管充填が終了するまではしっかりと根管治療を続ける必要があるのです。
根管治療には長い治療期間が必要ですが、根管充填が終了すれば被せ物を装着できます。歯を長持ちさせるためにも、根管充填の処置が完了するまでしっかりと治療を受けましょう。
根管治療を検討されている方は、東京都文京区「江戸川橋駅」より徒歩1分にある江戸川橋菊地歯科医院にお気軽にご相談ください。