根管治療前の前準備とは?

こんにちは。文京区関口にある江戸川橋菊地歯科医院です。

今回は、マイクロスコープを使用した精密根管治療を始める前にあたり、前準備の治療過程を実際の症例を通じてご説明します。

検査編

根管治療を行う前に必要となるのが、X線による病状の検査です。

  1. パノラマX線写真
  2. デンタルX線写真
  3. コーンビームCT(CBCT)

この3種類の検査を必要に応じて行い、虫歯の深さや根の先端にできる病変の大きさを確認します。

通常は、①と②をルーティンとして撮影します。

パノラマX線写真

パノラマX線写真は、お口全体の状態が1枚の画像でおおまかに把握することができでます。

デンタルX線写真

デンタルX線写真は1本の歯の状態を2次元の状態で詳しく把握することができます。

CT写真

2次元的に読影することが難しい場合に撮影するコーンビームCTは1本の歯の状態を3次元的に把握することができます。デンタルX線写真では確認できない病変の位置、重なってみえない根管など治療を行う前に病変の全体像を確認することで、治療を効率的に進めることができます。

治療編

まずは、デンタルX線で陰に写っている部分(透過像)を除去します。穴があいた部分に食べ物が詰まっています。

詰まったものを除去して虫歯の大きさを確認します。

健全な部分をなるべく削らずに、少しずつ虫歯を除去した時点で、う蝕検知液という虫歯になっている部分だけを選択的に染め出す特殊な液体を塗ります。

それを水洗すると、虫歯になっている部分だけがピンク色に染まるため、健全な部分はそのままに感染した歯質だけを効率良く除去することができます。それによって健康な歯をなるべく削らない精度の高い治療を行うことができるようになります。

虫歯を大まかに除去してから隔壁をつくります。

根管の内壁にも、スメアー層と呼ばれる感染した部分があるため除去します。

感染した歯質を完全に除去して、根管の洗浄と拡大を行います。

隔壁の目的は?

隔壁をつくる目的として、根管治療を行う際に

  1. お口の中の唾液が、治療している歯の内部に入ることを防止する
  2. 治療の際に使用する薬剤が口の中に漏れ出してしまうことを防止する

というのが、大きな目的となります。

根管治療中に歯の内部に唾液が入ることで、歯の根っこにある根管が感染を引き起こします。それが原因で将来的に根の先に病気ができてしまうことを専門用語では根尖性歯周炎と呼ばれています。根の内部を感染から守るためには、ラバーダム防湿が必須となりますが、それを装着する前に虫歯でなくなってしまった部分を補強する作業が必要になります。

根管治療に用いる薬剤は、殺菌を目的として使用しています。当院では、根管治療の際に一番多く用いられる次亜塩素酸ナトリウム、いわゆるハイターを使っているため、お口にその薬剤が漏れることは非常に危険です。

隔壁をつくってから、さらに根管内を洗浄し削りカスや有機質を次亜塩素酸ナトリウムで洗浄するとこのような根管をハッキリと確認することができるようになります。