歯周病と全身疾患の関係性!高齢者や妊婦さんへの影響も解説
こんにちは。東京都文京区「江戸川橋駅」より徒歩1分にある江戸川橋菊地歯科医院です。
歯周病と全身疾患には関係があると耳にしたことがある方がいるのではないでしょうか。なかには、歯周病は単に歯の病気と考えている方もいるかもしれませんが、実際には命に関わるような全身疾患を引き起こすこともあります。
今回は、歯周病と全身疾患の関係性や歯周病が身体に及ぼす影響、歯周病の治療方法、治療にかかる費用などについて解説します。
目次
歯周病と全身疾患の関係性
歯周病は、細菌感染により歯を支えている歯肉や歯槽骨に炎症が起きる病気のことです。
炎症を起こした状態になると、サイトカインという炎症性の物質がたくさん作られ、血流に乗って全身に広がることがあります。その結果、さまざまな病気を引き起こすことがあるのです。
例えば、歯周病によって引き起こされる疾患のひとつとして誤嚥性肺炎が挙げられます。これは、食べ物を飲み込む際に口腔内で増殖した細菌を誤嚥することによって引き起こされます。誤嚥とは食べ物が食道ではなく、誤って気管へ入ってしまうことです。
誤嚥性肺炎は高齢者や寝たきりの方に多く、時に命にかかわるような状態を引き起こすこともあります。そのほかにも、糖尿病や心疾患、早産、低体重児出産を引き起こすリスクもあります。
とはいえ、初期段階の歯周病では自覚症状がほとんどなく、知らず知らずのうちに進行することが多い病気です。そのため、早い段階で発見することが重要といえるでしょう。以下では、歯周病が身体に与える影響について詳しく解説します。
歯周病が糖尿病に与える影響
糖尿病とは、血糖を下げるインスリンが正常に作用しなかったり分泌量が低下したりすることによって発症する病気です。
もともと歯周病は糖尿病の合併症のひとつとされてきましたが、最近では歯周病が糖尿病にも影響を及ぼすことが明らかになっています。つまり、歯周病と糖尿病は相互に作用しながら、それぞれの病気を悪化させていくということです。
歯周病が心臓や脳に与える影響
歯周病は細菌感染による炎症性の疾患です。歯周病菌が血管内に入り込んで全身に送られると、心内膜炎を引き起こすこともあるでしょう。
また、歯周病菌が心臓の血管内に血栓を形成すると動脈硬化を引き起こし、狭心症や心筋梗塞のリスクが高まります。なお、動脈硬化は心臓の血管だけでなく、全身の血管で引き起こされることもあります。そのため、脳卒中などの発症リスクも高くなるでしょう。
歯周病が高齢者や妊婦さんに与える影響
妊娠中は歯周病にかかりやすいといわれており、特に妊娠中期から後期にかけて発症することが多くなります。妊娠中の女性が歯周病にかかり、歯周病菌が血中に入り込むと、早産や低体重児出産のリスクが高まるといわれています。
また、先にも述べた通り、嚥下機能が低下した高齢者や寝たきりの方は誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなるため注意が必要です。
これらを防ぐためには、日頃から細菌の温床となるプラーク(歯垢)を溜めないように、しっかりとセルフケアを行うことが重要です。
歯周病の基本的な治療方法
では、歯周病になってしまった場合にはどのような治療が行われるのでしょうか。ここからは、歯周病の基本的な治療方法について解説します。
歯周病の検査
まず、歯周病治療を行う前に歯周ポケットの深さをチェックして歯周病の進行度を調べます。歯周ポケットとは、歯と歯を支える歯肉の間の溝のことです。
健康な歯肉の状態であれば、歯周ポケットの深さは3mm以下ですが、歯周病の進行に伴って深くなります。歯周ポケットの深さが3〜5mmの場合は軽度の歯周病、4〜6mmの場合は中等度の歯周病、6mm以上の場合は重度の歯周病と診断されます。
歯周基本治療
歯周病の詳しい治療方法は歯周病の進行度によって異なりますが、歯周病の原因となるプラーク(歯垢)の除去が基本です。このように歯垢を減らすことをプラークコントロールといいます。
歯科医院では、歯垢や歯石を取り除いたり歯の表面をきれいに磨いたりする治療が行われることが一般的です。
ただし、歯科医院でクリーニングやブラッシング指導を受けたあとには、自宅でセルフケアを行っていくことがメインとなります。たとえ歯科医院で治療を受けていたとしても、セルフケアを怠れば歯周病の改善は難しくなるでしょう。
歯科医院での治療と適切なセルフケアにより歯周組織が改善されたことが確認できれば治療は一旦終了となり、定期検診で様子をみていきます。
歯周病の改善に役立つセルフケアの方法
歯周病の予防や改善には、毎日の歯磨きを丁寧に行うことが重要です。特に、歯垢などの汚れが蓄積しやすい歯と歯の間は、デンタルフロスや歯間ブラシを使って丁寧に汚れを取り除くことを心がけましょう。
歯ブラシで磨く際には、歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを当てて、細かく動かして磨くことがポイントです。このとき、力を入れてゴシゴシと磨くと歯肉を傷つける可能性があるため、力を入れすぎないように気を付けてください。
毎食後に歯磨きをすることが理想ではありますが、忙しい方であれば最低1日1回はゆっくりと歯磨きをする時間を作るようにしましょう。特に、就寝前には1か所につき10~20回程度は歯ブラシを動かして、しっかりと歯垢を落とすことが大切です。
歯磨きしにくい部分があるという方や、自分に合った歯磨きの方法が知りたいという方は、歯科医院でブラッシング指導を受けるとよいでしょう。
歯周外科治療
歯周病の基本的な治療を行っても改善されない場合には、外科的な治療を行うことも考えられるでしょう。歯周外科治療には、主にフラップ手術と歯周組織再生療法があります。
フラップ手術とは、歯ぐきを切開して歯根の先に付着した歯石を除去する手術です。歯根の先に付着した歯石を除去することで、歯周ポケットを浅くすることができます。
歯槽骨の吸収が進んでいる場合には、歯周組織再生療法によって歯周病によって失われた歯周組織の再生を促します。
歯周病の治療にかかる費用
歯周病の治療にかかる費用は歯周病の進行度によって異なります。以下では、歯周病の治療にかかる費用を進行度別に解説します。
軽度の歯周病の場合
軽度の歯周病の治療にかかる費用は、保険適用(3割負担)の場合は5,000円〜1万円程度、自費の場合は1万〜5万円程度です。通院回数は4回程度で、治療期間は1〜2ヵ月程度かかることが一般的です。
中等度の歯周病の場合
中等度の歯周病の治療にかかる費用は、保険適用(3割負担)の場合は1万円〜5万円程度、自費診療の場合は5万円〜50万円程度です。通院回数は6回以上かかることが多く、治療には3ヵ月〜1年程度かかるでしょう。
重度の歯周病の場合
重度の歯周病の治療にかかる費用は、保険適用(3割負担)の場合は3万円〜10万円程度が目安です。自費診療の場合には、20万円以上かかると考えておいたほうがよいでしょう。通院回数は10回ほどで、治療終了までに1年以上かかることが考えられます。
なお、重度の歯周病では外科的治療が必要となることがほとんどです。歯周病の症状は放っておいても改善することはありません。そのまま放置して症状が進行すれば、その分治療にかかる回数や期間、患者さんの負担も増えることになるでしょう。
歯を支える歯槽骨が溶ければ、最悪の場合には歯が抜け落ちることもあるため、できるだけ早期に治療を開始することが望ましいといえます。
まとめ
歯周病は歯の病気と考えている方もいるかもしれませんが、放っておくと全身疾患を招く恐れがあります。
歯周病は初期の段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行する可能性があります。歯周病が進行すると、治療期間は長くなり、費用もかかりますので、できるだけ早めに対処することが望ましいでしょう。
「歯ぐきが痛くないから大丈夫」「まだ若いから大丈夫」とは考えず、定期的に歯科検診を受けて歯ぐきの健康状態をチェックしてもらうことが大切です。
歯周病にお悩みの方は、東京都文京区「江戸川橋駅」より徒歩1分にある江戸川橋菊地歯科医院にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・歯周病治療をはじめ、根管治療や小児歯科、矯正治療にも力を入れています。診療案内ページはこちら、WEB予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。