歯周病で歯がぐらつく原因とは?注意点と対処法も
こんにちは。東京都文京区「江戸川橋駅」より徒歩1分にある江戸川橋菊地歯科医院です。

歯がぐらぐらすると不安に感じるでしょう。実際、日本人の約8割が歯周病にかかっているといわれており、歯周病は歯がぐらつく原因のひとつです。
とはいえ、歯が不安定になる理由は歯周病だけではなく、いくつかの要因が複雑に関係していることもあります。正確な診断と早期の治療によって、歯を残せる可能性が高まるでしょう。
この記事では、歯周病によって歯がぐらつくメカニズムから、そのほかの原因、歯がぐらつくときの注意点、治療法まで詳しくご紹介します。
目次
歯周病で歯がぐらつく原因

通常、歯は歯槽骨と歯根膜によりしっかりと固定されていますが、歯周病菌が増殖して歯周組織に炎症が起こると支えを失います。
初期段階の歯周病では、歯と歯茎の境目にプラークがたまり、炎症を引き起こします。この段階では骨の吸収はまだ始まっていません。放置すれば炎症が深部にまで波及し、やがて歯槽骨にまで影響が及びます。
歯周病は進行性で、治療をおこなわない限り炎症反応が長期にわたって持続し、徐々に骨が失われていくのが特徴です。骨が減るにつれて歯の固定力が低下し、ぐらつきが目立つようになります。
進行が止まらなければ、やがて支えが失われ、歯が自然に抜け落ちることもあるため注意が必要です。
歯がぐらつく原因は歯周病だけではない

歯の揺れには、歯周病以外にもいくつかの原因が考えられます。以下では、代表的な4つの原因について詳しく見ていきましょう。
外傷による歯の動揺
転倒や交通事故、スポーツによる衝撃などで歯に外傷を負った場合にも、歯が揺れることがあります。強い衝撃が歯根膜や歯槽骨に損傷を与えることで、歯がぐらつく状態になるのです。
軽度な外傷であれば治療によって回復することもありますが、重度の場合は歯根の破折や歯槽骨の大きな破損を伴い、抜歯に至るケースもあります。このような外傷による歯の揺れは突然起こることが多く、ゆっくり進行する歯周病とは違った特徴を持っています。
また、外傷によって歯の神経が死ぬ歯髄壊死のリスクもあるため、定期的な経過観察が必要です。
根尖病巣による歯の動揺
虫歯が歯の根の先にまで進行すると根尖病巣という膿の袋ができることがあります。この膿が歯槽骨を圧迫・破壊すると、歯のぐらつきが起こることがあるのです。
特に急性の根尖性歯周炎では、激しい痛みとともに歯が動くように感じることがあるでしょう。これは局所的な骨の吸収によるもので、歯周病のように広範囲ではなく、特定の歯のみに現れるのが特徴です。根管治療をおこない、感染源を取り除くことで症状の改善が期待できます。
咬合性外傷による歯の動揺
過剰な咬む力によって引き起こされる咬合性外傷も、歯が揺れる原因のひとつです。
これは、歯ぎしり・食いしばり、噛み合わせのずれなどによって、歯に不自然な力がかかり続けることにより生じます。特に就寝中の歯ぎしりは、日中の何倍もの咬合力がかかるとされ、歯根膜や歯槽骨に大きなダメージを与えます。
歯周病と重なることで症状が悪化しやすくなる点にも注意が必要です。
全身疾患による歯の動揺
糖尿病や骨粗しょう症など、身体の病気が歯の健康に影響を与えるケースもあります。糖尿病になると免疫機能が低下して歯周病が進行しやすく、炎症の治癒も遅くなる傾向があります。また、骨粗しょう症になると骨密度が低下し、歯を支える歯槽骨にも影響が及びます。
閉経後の女性は女性ホルモンの減少により骨がもろくなりやすいです。これによって歯を支える顎の骨も弱くなると、歯の動揺が見られるようになります。
このような全身疾患が背景にある場合は、医科と歯科の連携による包括的な治療が大切です。
歯がぐらつくときの注意点

歯のぐらつきを感じた際は、以下のことに注意しましょう。
刺激を与えない
歯が揺れることに気づいたら、必要以上に歯を触らないことです。舌で押したり、指で触ったりすると、歯の動揺が悪化し、さらには歯が抜け落ちる危険性があります。硬い食べ物を噛んだり、歯ぎしりをしたりすることも、歯のぐらつきを悪化させる原因となるでしょう。
歯がぐらつく症状を自覚したら、できるだけ早期に歯科医院を受診することが重要です。自然に治ることはほとんどなく、放置すると状態が悪化する可能性が高いでしょう。
食事内容に注意する
歯がぐらつく際の食事には特別な注意が必要です。
まず、ぐらつく歯では硬い食べ物を噛まないよう心がけましょう。せんべいやナッツ類、硬い肉類などは避け、やわらかい食べ物を選択することが大切です。食事の際は、ぐらつく歯の反対側で噛むようにし、患部に負担をかけないよう配慮します。
また、極端に熱いものや冷たいものは、知覚過敏を引き起こす可能性があるため、適温のものを摂取するよう心がけましょう。
栄養バランスの取れた食事を心がけることも重要です。特に、カルシウムやビタミンC、ビタミンDなどの栄養素は、歯や歯周組織の健康維持に必要不可欠です。やわらかい食べ物中心の食事でも、栄養不足にならないよう注意が必要です。
口腔清掃を慎重に行う
歯がぐらつく際の口腔清掃は、慎重におこなう必要があります。
通常の歯磨きでは、ぐらつく歯に強い力を加えないよう、やわらか目の歯ブラシを使用し、優しく磨くことが大切です。ぐらつく歯の周辺は、プラークが蓄積しやすい状態になっているため、清掃を怠ると歯周病が進行する可能性があります。
しかし、強すぎるブラッシングは歯のぐらつきを悪化させるため、力加減に注意が必要です。
歯間ブラシやデンタルフロスの使用も、通常より慎重におこないましょう。無理に挿入したり、強く引っ張ったりすると、歯の動揺を悪化させる可能性があります。必要に応じて、歯科医師や歯科衛生士に適切な清掃方法を指導してもらうと良いでしょう。
歯ぎしり・食いしばりを改善する
歯ぎしりや食いしばりは、ぐらつく歯に過度な力を加え、症状を悪化させる主な要因です。歯ぎしりや食いしばりなどの習慣は無意識におこなわれることが多いため、意識的に改善する努力が必要になるでしょう。
ストレスも歯ぎしりや食いしばりの原因となるため、ストレス管理も重要な要素です。可能な限り適度な運動や趣味の時間を確保して、ストレスを溜めないようにしましょう。
喫煙・飲酒は控える
喫煙は歯周病の進行を促進し、治癒を妨げる大きな原因です。また、過度の飲酒も免疫力の低下や栄養吸収の阻害につながります。そのため、喫煙や飲酒を控えめにすることが望ましいです。
歯周病が原因で歯がぐらつくときの対処法

歯周病が原因で歯がぐらつく場合、最も重要なのは歯科医院での専門的な診断と治療です。歯科医師は、レントゲン検査や歯周ポケットの測定、歯の動揺度の評価などを通じて、適切な治療計画を策定します。以下に、歯がぐらつく際の対処法をご紹介します。
歯周病の基本治療
歯周病治療の基本となるのが、スケーリング・ルートプレーニングです。スケーリングは歯の表面に付着した歯石を除去する処置で、ルートプレーニングは歯根の表面を滑らかにし、細菌の再付着を防ぎます。歯周病の原因となる細菌の除去と、歯周組織の炎症の改善を図ります。
治療後は歯茎の腫れが引き、歯周ポケットが浅くなることで、歯のぐらつきの改善が期待できるでしょう。
ただし、破壊された歯槽骨は完全には再生しないため、基本治療だけでは十分な効果が得られない場合もあります。
歯周外科治療
重度の歯周病で歯の揺れが著しい場合、歯周外科治療が行われることがあります。歯周外科治療には、歯肉切除術や歯周組織再生療法などが挙げられるでしょう。
歯肉切除術では、深い歯周ポケットを形成している歯茎の一部を除去し、清掃しやすい環境を作ります。プラークコントロールがしやすくなるため、歯周病の進行の抑制が期待できます。
歯周組織再生療法は、エムドゲインゲルなどの材料を用いて、失われた歯周組織の再生を促進する治療法です。歯を支える組織が回復すれば、歯のぐらつきが改善される可能性があります。
歯の固定処置
歯周病により歯の揺れが著しい場合、歯の固定処置がおこなわれることがあります。動揺している歯を隣の歯と固定することで、咬合力を分散し、歯周組織への負担を軽減する治療法です。
固定方法には、ワイヤーを用いた固定やレジンによる固定などがあります。固定の期間は、歯周病の治療の進行状況や歯の動揺度によって決められます。
歯の固定は、歯周病治療の一環としておこなわれることが多く、基本治療と並行して実施されます。固定により歯の動揺が抑制されることで、歯周組織の治癒が促進され、長期的な歯の保存が可能になるでしょう。
咬合調整
歯周病による歯のぐらつきには、咬合力の調整も重要な治療法です。過度な咬合力は歯周組織に負担をかけ、歯周病の進行を促進します。咬合調整により、歯にかかる力のバランスを整えることで、歯周組織への負担を軽減できるでしょう。
咬合調整は、歯の表面を少し削ることでおこなわれます。特定の歯に集中している咬合力をほかの歯に分散させることで、全体的な咬合のバランスが改善されるでしょう。
また、歯ぎしりや食いしばりがある場合は、ナイトガードの使用も効果的です。ナイトガードは就寝時に装着するマウスピースです。ナイトガードを装着することで、歯ぎしりによる過度な力から歯を保護し、歯周組織への負担を軽減します。
定期的なメンテナンス
歯周病治療により歯のぐらつきが改善されたあとも、定期的なメンテナンスが不可欠です。歯周病は慢性疾患であり、治療後も継続的な管理が必要だからです。
定期的なメンテナンスでは、プラークコントロールの状態確認や歯石除去、歯周ポケットの測定などがおこなわれます。歯周病の再発を防ぎ、治療効果を長期間維持できるでしょう。
メンテナンスの間隔は、患者さんの歯周病の程度や口腔清掃の状態によって決められますが、通常は3〜6か月に1回程度が推奨されます。また、患者さん自身の日常的な口腔清掃も、治療効果を維持するためには重要です。
まとめ

歯がぐらつく症状は、歯周病をはじめとするさまざまな原因により引き起こされる深刻な問題です。歯周病による歯のぐらつきは、歯を支える歯槽骨の破壊が主要な原因となり、放置すると最終的には歯の喪失につながるケースもあります。
しかし、歯周病以外にも外傷や根尖病巣・咬合性外傷・全身疾患など多様な要因が関与することも理解しておく必要があります。
歯のぐらつきを自覚したら、触らずに早急に歯科医院を受診することが重要です。専門的な診断と適切な治療を受けることで、歯を保存できる可能性が高まります。
歯の健康は全身の健康と密接に関連しているため、早期発見・早期治療を心がけ、生涯にわたって自分の歯を維持しましょう。
歯周病の症状にお悩みの方は、東京都文京区「江戸川橋駅」より徒歩1分にある江戸川橋菊地歯科医院にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・歯周病治療をはじめ、根管治療や小児歯科、矯正治療にも力を入れています。診療案内ページはこちら、WEB予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。