根管治療の成功率について!!

こんにちは。文京区関口にある江戸川橋菊地歯科医院です。
今回は、根管治療の成功率について説明します。

日本の根管治療の成功率は、30~50%程度

当院に根管治療の相談で訪れる患者さんから「根管治療の成功率」はどのくらいですか。という質問を多く頂きます。
それに関する様々な文献が多く存在していますが、中でも東京医科歯科の研究で、日本の保険診療での根管治療の成功率は30~50%程度であるという報告があります。一方、米国での根管治療の成功率は90%程度という報告もあります。
ではどうして日本の根管治療の成功率は低いのでしょうか!

日本のラバーダムの使用率は5.4%

そもそも、なぜ根管治療が必要な状況になるのでしょうか。
歯の神経が気づかないままいつの間にか壊死してしまう。根の先に病気を引き起こすなど、歯の内部に存在する神経がだめになる原因は、細菌感染であるということが分かっています。
そして、その細菌はどこからやってくるのか。答えは唾液に含まれる細菌です。
この唾液が根管治療(根っこの治療)の途中に歯の内部に侵入しないよう用いるのがラバーダムというゴム状のシートです。
治療上のメリットは大きいものの、日本でのラバーダムの使用率は5.4%(2011年データ)と低いのが現状です。

成功率を上げるためのカギ

①マイクロスコープによる根管治療を行う

歯の内部にある神経の治療は、とても細かい作業となるため、マイクロスコープを使用することで精密な治療を行うことができます。

②感染の原因となる唾液を排除

確実なラバーダム防湿を根管治療時に行うことで、唾液に含まれる細菌が、歯の神経の治療を行う際に、歯の内部に侵入すること防ぎます。

③CTスキャンの使用

通常、歯科治療を行う際には、パノラマ写真やデンタルX線写真といった2次元的な画像での診査、診断が行われますが、CTを撮影することで3次元的な画像による検査を行うことが可能となります。
それによって、根っこにある病気を見逃しません。

④1回目の根管治療(抜髄)が重要

根管治療における成功率として、1番高いのはその歯にとって初めて神経を取る治療(抜髄)です。
2回目以降の治療(再治療)の成功率は、1回目よりも下がるため、いかに清潔な環境で確実性の高い根管治療を受けるかが大切です。

⑤ニッケルチタンファイルの使用

歯の根っこは、まっすぐなものもあれば、曲がっているものもあります。
そのような複雑な根っこの形態に合わせて、形状記憶という性質をもつニッケルチタンファイルを治療に用いることで、治療時間の短縮、治療の成功率が上がります。

⑥MTAセメントの使用

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)は、歯科用の水分を含むことで固まるセメントです。
使用するメリットとして、強い殺菌性をもつこと、生体親和性があるため身体にやさしい材料、固まる時にセメントが膨張することで隙間のない治療ができる、ミネラル成分により歯質を強化する作用があります。
一方で保険適応になっていない材料のため、自由診療で使われる材料です。