こんにちは。東京都文京区「江戸川橋駅」より徒歩1分にある江戸川橋菊地歯科医院です。

「気づいたら子どもがいつも口を開けて呼吸をしている」「寝ているときも口で息をしているように見える」と不安を感じている保護者の方は少なくありません。口呼吸は癖のようにも見えますが、成長期の子どもの身体や歯並び、集中力にまで影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、子どもの口呼吸の原因や、放置することによる影響、改善のために家庭や歯科医院でできることをわかりやすく解説します。お子さまの健康な発育と正しい呼吸習慣を守るために、この記事を参考にしてください。

子どもの口呼吸の原因

子どもが口呼吸になる背景には、さまざまな要因が複雑に関係しています。原因を知ることが、改善への第一歩です。

鼻づまり

子どもが口呼吸になる背景には、鼻づまりなどで鼻呼吸がしづらい状態が続いていることがあります。アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎があると、鼻の粘膜が腫れ、空気の通り道が狭くなります。

近年では、花粉症やハウスダストアレルギーを持つ子どもが増えており、鼻づまりが日常的に続くケースも少なくありません。

風邪をひいた際に一時的に口呼吸になることは珍しくありませんが、問題なのは風邪が治った後も口呼吸が習慣として残ることです。鼻づまりの期間が長引くと、口で呼吸することが当たり前になり、鼻の通りが改善された後も口呼吸を続けるケースも見られます。

アデノイドや口蓋扁桃の肥大

鼻の奥にあるアデノイドや、喉の両側にある口蓋扁桃が大きくなることも、子どもが口呼吸になる原因のひとつです。これらのリンパ組織は、細菌やウイルスから身体を守る役割を担っていますが、幼児期から学童期にかけて生理的に大きくなる傾向があります。

アデノイドや口蓋扁桃が過度に肥大すると、鼻から喉へと続く空気の通り道が物理的に塞がれます。その結果、鼻呼吸が困難になり、自然と口で呼吸するようになるのです。

口周りの筋力の未発達

口を閉じておくためには、唇や頬の筋肉がしっかり働いていることが欠かせません。

しかし、現代の子どもたちは柔らかい食べ物を中心とした食生活が多く、しっかり噛む機会が減っています。そのため、口周りの筋力が十分に育っていないケースが目立ちます。

例えば、唇のまわりを囲む口輪筋が弱いと、無意識のうちに口が開き、口呼吸につながることがあります。さらに、舌の筋力が不足していると舌が正しい位置に保てず、下がった状態になることで気道が狭くなり、鼻呼吸がしづらくなるケースもあります。

習慣や癖としての口呼吸

身体的な問題がなくても、日常の習慣や癖が原因で口呼吸が定着することがあります。例えば、何かに集中しているときや、テレビやゲームに夢中になっているときに、無意識のうちに口が開いているお子さまもいるでしょう。

こうした状態が繰り返されると、口を開けていることが自然な状態だと脳が認識し、意識しなければ口を閉じられなくなっていきます。一度習慣化すると、指摘されても無意識の行動であるため本人が実感しづらく、癖を治すのに時間がかかる可能性があります。

口呼吸が子どもへ及ぼす影響

口呼吸の習慣は、見た目や健康面に多くの悪影響が生じる可能性があります。そのため、気づいた段階で適切な対策をとることが重要です。

虫歯や歯肉炎のリスクが上昇する

鼻呼吸では、空気が鼻毛や鼻腔の粘膜を通ることで加湿・浄化されます。

一方、口呼吸になると、乾燥した空気がそのまま口腔内に入り込みます。唾液が蒸発しやすくなり、口の中が乾燥しやすくなります。

唾液には、食べかすを洗い流す自浄作用や、虫歯菌が作り出す酸を中和する緩衝作用、さらに歯の再石灰化を促す働きがあります。口呼吸によって口内が乾燥すると、これらの機能が十分に発揮されなくなり、虫歯や歯肉炎のリスクが高まる原因になります。

顔立ちや歯並びへの影響

口呼吸によって口が開いた状態が続くと、舌が本来あるべき上あごに接しなくなり、上あごの骨を横に広げる自然な力が失われます。その結果、上あごの成長が妨げられて狭くなり、歯が生えるスペースが不足し、不正咬合を引き起こしやすくなります。

集中力・学習能力への影響

口呼吸が続くと、いびきや睡眠時無呼吸症候群につながることがあります。特に、アデノイドや扁桃腺の肥大が原因の場合は、気道が狭くなるため、夜間に十分な酸素を取り込めず、質の高い睡眠が妨げられます。

その結果、日中の眠気や集中力の低下、学力への影響が出ることがあるのです。

免疫力の低下

鼻呼吸では、鼻の粘膜が空気中のウイルスや細菌、花粉などをフィルターのように捕まえ、肺に入る前に異物を取り除く役割を果たします。

しかし、口呼吸ではこれらの異物が直接喉や気管に入るため、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなったり、アレルギー症状が悪化したりします。

口呼吸をしている子どもの特徴

子どもの口呼吸は、外見や仕草からある程度判断することができます。ここでは、口呼吸をしている子どもの特徴をご紹介します。

日常生活で見られるサイン

リラックスしているときや、テレビを見ているとき、遊んでいるときなどに、上と下の唇が閉じずに常に開いている状態が、最も分かりやすい特徴です。また、乾燥により唇から水分が奪われやすく、唇を頻繁に舐める癖が見られたりすることもあります。

さらに、食事の際に、クチャクチャと音を立てて食べる、食べ物が口からこぼれやすい、飲み込むのが下手といった特徴が見られることもあります。口を閉じてしっかりと噛み、飲み込むという一連の動作が、口呼吸によってうまくできていないためです。

睡眠時の特徴

寝ているときに口を開けていたり、いびきをかいたり、朝起きたときに喉が乾いている場合も要注意です。寝ているときに口が開いていると、唾液が外に流れ出てしまい、枕元に大きなよだれの跡がついていることもあります。

睡眠中に口呼吸が続くと、口内の乾燥だけでなく、十分な酸素が取り込めず眠りの質が悪くなる可能性があります。慢性的な疲労や集中力の低下にもつながりかねません。

顔立ちや姿勢の変化

口呼吸の子どもは、顎が小さく顔が細長く見える傾向があります。また、前かがみの姿勢や猫背が定着していることも少なくありません。呼吸をしやすくするために、無意識に姿勢で調整しようとするのです。

子どもの口呼吸は改善できる？

子どもの口呼吸は、原因を特定し、適切な対策を行うことで改善が可能です。

医療機関での治療

口呼吸の原因が鼻づまりである場合は、まず耳鼻科での診察を受けることが大切です。アレルギー性鼻炎やアデノイド肥大などが見られる場合には、薬物療法や手術で鼻呼吸ができるように治療を進めます。

一方、口呼吸に歯並びや顎の発達が関係している場合は、歯科医院での矯正治療が選択肢となります。特に、顎の成長期に行う小児矯正では、上顎を広げることで鼻腔のスペースが広がり、自然な鼻呼吸を促す効果も期待できます。

さらに、MFT（口腔筋機能療法）も有効なアプローチのひとつです。これは、舌・唇・頬など口まわりの筋肉を正しく使えるようにするためのトレーニングで、歯科医師や歯科衛生士の指導のもと、ご家庭で毎日取り組みます。

具体的には、舌を正しい位置（スポット）に置く練習や、唇をしっかり閉じる練習、正しい飲み込み方の習得などが含まれます。継続することで、無意識のうちに鼻呼吸が定着し、歯並びに悪影響を及ぼす癖の改善にもつながります。

家庭でできる改善法

歯科医院での治療効果を高めるためには、ご家庭でのサポートと日常生活の習慣改善が欠かせません。お子さまが口を開けているときには「お口を閉じてね」と優しく声をかけ、鼻呼吸を意識的に促しましょう。

また、正しい姿勢を習慣づけることは、自然と舌を正しい位置に置きやすくし、口を閉じやすくするために重要です。

食事においては、噛みごたえのある食材を選んであげましょう。よく噛んで食べる習慣を徹底すれば、口周りの筋肉が鍛えられ、口を閉じる力を強化することにつながります。

まとめ

子どもの口呼吸は、ただの癖と軽視してはいけません。鼻づまりや生活習慣の乱れなど、さまざまな要因が複合的に関係しており、放置すると歯並びや顔立ち、健康面に悪影響を及ぼすおそれがあります。

しかし、早期に気づき、歯科医院や耳鼻科で原因を確認しながら生活習慣を整えることで、改善は十分に可能です。お子さまの健やかな成長と美しい歯並びのために、今一度、呼吸の様子を観察してみてください。

お子さまの口呼吸の改善を検討されている方は、東京都文京区「江戸川橋駅」より徒歩1分にある江戸川橋菊地歯科医院にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療をはじめ、根管治療や小児歯科、矯正治療にも力を入れています。診療案内ページはこちら、WEB予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。