根管治療の薬剤について解説します!
こんにちは。
文京区関口にある江戸川橋菊地歯科医院です。
今回は、「根管治療の際に使用する薬剤」について説明します。
目次
なぜ根管治療に薬剤が必要か?
根管治療は、歯の内部にある神経に何らかの要因で感染が引き起こされ、神経が炎症や壊死してまった際に必要となる治療です。根の先端にできる根尖病変は「細菌感染」が原因で引き起こされています。つまり、根の内部に生息する細菌をできるだけ殺菌しないと病気は治りません。細菌を殺菌するための薬剤が、根管治療には必須なのです。
根管の細菌を取り除くためには、どのような方法があるのか?
①機械的拡大
根管治療時に使用されるファイルと呼ばれる細い針のような器具を使用して、根管内部に存在する細菌を機械的に清掃しています。その際、無機質溶解作用があるEDTAという薬剤を使用します。またニッケルチタンファイルという器具を使用することで60%程度、根管内部に器具の表面が接触すると言われています。
しかし、これだけで細菌が減るわけではありません。無暗に歯の内部を削ることで歯の厚さが薄くなってしまったり、段差をつくることで最終的に入れるお薬が途中で詰まってしまうこともあります。
②化学的洗浄
機械的拡大が完了した後、根管内部を薬剤を使用して洗浄することを化学的洗浄と呼んでいます。主に次亜塩素酸ナトリウムという薬剤が使用されます。そのため治療中に患者さんのお口の中に薬剤が漏れると危険なので、必ずラバーダムを装着する必要があります。根の形態は、単純に一本のストローのような構想になっている訳ではありません。細くて複雑な形をしているため、物理的に清掃できる所とできない所があり、化学的洗浄は、機械的に清掃できなかった部分まで薬剤が到達することで、殺菌しています。
③根管貼薬
機械的拡大と化学的洗浄が完了した後、根管の内部は空洞になっています。次回の治療までには時間があるため、根管の内部に殺菌を目的として薬剤を注入し、その薬剤が徐々に根管を殺菌するようにしているのが、根管貼薬という行程です。
最近では、水酸化カルシウム製剤が主流となっていますが、ホルマリン系薬剤を使用している場合もあるようです。ホルマリン系薬剤には発がん性があるという報告もあるため、当院の治療では使用していません。
根管の中には何が入っているのか?
歯の構造は、表層から順番にエナメル質、象牙質、神経という3層構造になっています。
一方、歯ぐきに隠れて見えないセメント質や歯根膜、歯槽骨という組織も存在します。
①初めて根管治療を受ける根管の場合
根管の中には、痛みがわかる神経があり、除去する際には出血を引き起こします。また、すでに神経が死んでおり、壊死している場合には出血が起こらず痛みも感じにくいため通常は麻酔をしないで治療することが可能です。
②過去に根管治療を受けたことがある根管の場合
根管の中には、レジンやファイバーまたは金属製のネジが土台として入っています。その更に奥に根管充填剤と呼ばれるゴム状の薬剤が根の先まで詰め込まれています。
根管治療では、歯の内部を殺菌するために神経や過去に行われた治療で使用された薬剤を除去した上で根管の内部を殺菌しています。
まとめ
根管治療は、歯科治療の中でも難易度の高い治療です。また根管治療の成功率は虫歯治療やインプラント治療などと比較すると低く、治療後どのような結果になるのか、よく説明を受けて理解してから治療を受けることをおすすめします。
今回もここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。