根管治療で使用されるMTAセメントとは?

こんにちは。文京区関口にある江戸川橋菊地歯科医院です。
今回は、歯の根の治療(根管治療)に欠かせないMTAセメントについて説明します。

MTAセメントとは?

江戸川橋 歯医者 根管治療 江戸川橋菊地歯科医院

MTAセメントとは、Mineral Trioxide Aggregateの頭文字をとったものです。1998年にアメリカで開発された薬剤で、二酸化ビスマス、ケイ酸二カルシウム、ケイ酸三カルシウム、石膏などが入った歯科用セメントです。国内では2007年から販売が開始され、これまで多数の症例のおいて高い評価を受けている薬剤です。

どんな効果があるのか?

①殺菌効果

江戸川橋 歯医者 殺菌効果 江戸川橋菊地歯科医院

このセメントの重要な特徴になるのが、強アルカリ性による高い殺菌効果です。細菌は通常、pH9程度以上で死滅すると言われますが、このセメントのpHはそれを上回る12です。これにより根管治療の最終段階でMTAが入れられると、元々は細菌感染が原因で引き起こされた根の病気に対して、細菌の増殖を長期的に抑制する効果があります。

②生体親和性が高い

江戸川橋 歯医者 人体への細胞毒性 江戸川橋菊地歯科医院

人体への細胞毒性がなく、安全な材料です。

③高い親水性がある

江戸川橋 歯医者 高い親水性 江戸川橋菊地歯科医院

根管内を完全に乾燥させることが難しいため、根管には少ない量ではありますが、水分が存在します。MTAセメントはその水分を使って硬化します。

④封鎖性が高い

江戸川橋 歯医者 封鎖性が高い 江戸川橋菊地歯科医院

MTAセメントは歯科材料の中では珍しく、固まるにつれて膨張するという特徴をもった材料です。通常の根管治療に使用される材料は、ガッタパーチャと呼ばれるもので、経年的に収縮するため治療が完了してから時間が経つにつれて、隙間ができてしまうという欠点があります。MTAセメントはその欠点を改善した材料です。

MTAセメントの注意点?

MTAセメントは保険適応外の薬剤のため、現状は自由診療で使用されています。そのため治療計画や治療費をよく相談してから治療を受けることが必要です。

根管治療以外の使用用途

①歯髄保存療法(神経温存治療)

江戸川橋 歯医者 X線写真 江戸川橋菊地歯科医院

X線検査において、虫歯が神経に到達するくらい深い場合、それぞれの歯科医師の判断で神経を取る処置(抜髄)が行われることがあります。たとえX線上で虫歯が深かったとしても、適切な治療をすることで神経を取らずに残すことが可能な場合があります。

その際に使用されるのが、殺菌性を兼ね備えたMTAセメントです。

②パーフォレーションリペア

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パーフォレーションを日本語では、「穿孔」や「抜き穴」と表現されます。歯根の根管は数ミリの大きさで非常に狭く、精密な作業を要求されるため、治療中の偶発症として歯の一部の人為的につくられた穴があいてしまうことがあります。万が一、穴が開いたとしても適切な処置をすることで、その後の予後に問題がないという報告もあるため発見後は速やかな処置が必要です。

③外科的歯内療法(歯根端切除術)

江戸川橋 歯医者 歯根端切除術 江戸川橋菊地歯科医院

通常の根管治療を行っても治癒がみこまれない場合やセラミックやジルコニアなどのかぶせ物を壊して治療を受けたくない場合は、歯ぐきをメスで切開し、感染の原因とされる歯の根の先端を外科的手術で切除することがあります。この際にもMTAセメントが根管内に使用されることがあります。

まとめ

今回は歯科医師であれば誰もが知っている薬剤であるMTAセメントについて説明しました。使用用途は上記以外にも存在し、歯科治療にはなくてはならない材料です。最近では患者さんから「MTAセメントは使っていますか?」という問い合わせも頂くようになりました。当院ではMTAセメントを用いた専門的な治療を行っていますので、ご相談下さい。

今回もここまでお読み頂き、ありがとうございました。

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