Microscope
マイクロスコープ診療
当院では、「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」を使用した歯科治療を専門に行っております。
マイクロスコープは、お口の中の状態を拡大し、観察できる機器であり、裸眼で治療を行う場合に比べ、質の高い精密な治療が可能になります。
しっかり噛める歯を維持し、口内の健康を保つことは、全身の健康維持に直結します。
ご自身の大切な歯を守るには、できるだけ削らずに歯質を多く残すことが重要であり、精度の高い治療を可能にするマイクロスコープ診療は非常に有効です。
精密な歯科治療をご希望の方はもちろん、虫歯の再発を繰り返している方や歯周病が不安な方など、歯のトラブルにお困りの方は、ぜひ当院にご相談ください。
1.マイクロスコープとは?
虫歯や歯周病といった歯の疾患は、目には見えない口の中の細菌が原因で起こるものであり、正確で緻密な治療が必要になります。
しかし、人が目視で認識できるのは、0.1㎜(髪の毛の太さ)が限界で、口内の狭い空間を正確に診ることは容易ではないため、裸眼で行う治療の精度には限界があります。
マイクロスコープは、元々、手術用に使われていた顕微鏡を歯科用に改良したもので、視野を裸眼の3~30倍に拡大できるのが特徴です。
患部を明るく照らし出す強力なライトが装着されており、裸眼では確認できない小さな虫歯やひび割れ、汚れなどもしっかり見えるので、精密な処置が可能になり、虫歯や感染部分の取り残しなどを大幅に減らすことができるのがメリットです。
このようにマイクロスコープは、歯科治療の質を上げ、さまざまなメリットが得られることから、現在、虫歯の治療だけに留まらず、歯周病の治療や審美治療など、あらゆる歯科治療に取り入れられるようになっており、マイクロスコープを用いた治療を希望される患者さまも近年、徐々に増えてきています。
マイクロスコープ診療のメリット
- 早期発見・治療が可能
マイクロスコープ診療では、視野を拡大し、見やすいサイズに調整できるので、裸眼では到底見えない小さな虫歯や病巣を発見することが可能です。痛みや不具合の出る前の初期のうちに治療を行うことができるので、治療の回数や治療費を抑えることが可能です。 - 再発リスクを減らす
歯科の治療を受けても、感染部位の取り残しなどがあると、虫歯は再発してしまいます。
治療がやり直しになると、更に多くの歯を削ることになり、何度も繰り返しているうちに歯を失ってしまうケースもあります。マイクロスコープを使用すると、裸眼では見つけられないミクロな虫歯も的確に処置を行うことができるため、虫歯の再発や抜歯のリスクを大幅に下げることが可能です。 - 歯質を多く保存できる
拡大した画像をモニターに映し、感染した部分だけを正確に削り取ることができるので、大切な歯を削り過ぎてしまう心配がなく、ご自身の歯を最大限に残すことが可能です。 - 治療した歯を長持ちさせる
マイクロスコープを使用すると、ご自身の歯と補綴物(ほてつぶつ:詰め物や被せ物のこと)の調整をミクロ単位で行うことが可能です。接合部に余分な隙間がないと、歯の内部に細菌が入り込みにくくなるため、治療した歯を長持ちさせることが可能です。 - 仕上がりが美しい
マイクロスコープで歯の形から色調までを正確に把握することができるので、より自然で美しく仕上げることができ、治療後の変色トラブルなども起こりにくくなります。 - 治療の内容が良く分かる
マイクロスコープは、治療時の様子を画像や動画で記録することができ、治療後には、分かりやすく拡大した画像をご覧いただきながら、治療内容の説明を行うことが可能です。ご自身の目で確認することで、治療の内容を深く理解していただけるのが大きなメリットです。
マイクロスコープ診療をおすすめする人
マイクロスコープは以下のような人におすすめです。
- 虫歯になりやすい方
- 同じ歯の治療を何度も繰り返している方
- 歯科治療がなかなか終わらず、長期間通院を余儀なくされている方
- できるだけ天然の歯を削りたくない方
- 歯周病が心配な方
- 精密な歯科治療を希望される方
2.マイクロスコープで行う治療の種類当院では、以下のような治療にマイクロスコープを使用しています。
虫歯治療
マイクロスコープの先端に付いた強力なライトが、暗いお口の中を明るく照らすことで、拡大した歯の状態がより見やすくなり、裸眼では見つけることができない小さな虫歯を発見することが可能です。感染部位だけを精密に削り取ることができるので、虫歯の取り残しや健康な歯を削り過ぎてしまうリスクを減らすことが可能です。
根管治療
重度の虫歯に行う「根管治療(こんかんちりょう:歯の根の神経を取る治療)」は、マイクロスコープの有効性が最も発揮できる分野です。クモの巣のように複雑な形状をしている根管は、光が奥まで届かないため、裸眼では正確な状態を確認することができません。
マイクロスコープを使用すると、根管の状態が正確に把握できるようになるので、精密な処置が可能になり、治療の成功率が大幅に高まります。
マイクロスコープを用いた根管治療は、日本国内ではまだあまり普及していませんが、アメリカで根管治療を行う際には、マイクロスコープの使用が義務付けられています。
歯周病治療
マイクロスコープを使用すると、歯茎の奥深くに隠れている汚れや歯石もしっかり見えるようになり、きれいに除去できるほか、歯周ポケットに溜まった膿も確実に洗い落とすことができます。
口内の様子をモニターで確認しながら治療を進めることができるので、歯根や歯肉を傷付ける心配がなく、治療時に起こりやすい歯茎からの出血や痛みなども抑えることが可能です。
審美治療
審美治療では、機能的な回復はもちろん、周りの歯に調和した、自然で美しい仕上がりが要求されます。マイクロスコープを使用すると、繊細な調整が可能で、接合部に余分な隙間ができないため、より美しい仕上がりにすることが可能です。補綴物の適合性が高まることで、歯の内部に細菌が入りにくくなり、治療した歯の寿命を延ばす効果も期待できます。
3.当院のマイクロスコープ治療の特色
当院のマイクロスコープ診療には以下のような特色があります。
ほぼすべての治療にマイクロスコープを使用
当院では、通常の診療の9割以上にマイクロスコープを使用しています。
保険診療・自由診療に関わらず、マイクロスコープによる治療を受けていただくことが可能です。
画像を使った丁寧な説明
当院では、治療中の画像や動画を記録し、お一人お一人、丁寧に治療内容の説明を行います。
治療前後の画像を見比べながら説明を行うことで、その日に行った処置が一目瞭然になり、深くご理解いただくことができると、患者さまからも好評を頂いております。
多数の治療経験
当院の院長は、長年、マイクロスコープ診療に携わり、さまざまな症例の治療を行ってきた経験があります。これまでに培ってきたマイクロスコープの操作技術や治療経験などを最大限に活かし、患者様の症状に合わせた治療を行うことが可能です。
4.Q&A
1)マイクロスコープと拡大鏡(ルーペ)を使った治療との違いは何ですか?
マイクロスコープと拡大鏡(ルーペ)は、どちらも患部を拡大することができる医療機器です。
顔に装着して使用するルーペは、コンパクトで裸眼と同じ感覚で使用できるのがメリットで、拡大率は1.5倍~10倍程度が限度となります。
一方、マイクロスコープは、3~30倍に拡大可能なため、より細部まで正確に見ることができますが、視野角が裸眼とは異なるため、操作には一定のトレーニングが必要です。
当院では、患者さまの全ての歯の状態は、初診時に医師がマイクロスコープで確認させていただき、問題がある歯や、後々問題になりそうな歯は、しっかりデータを記録し、治療や経過観察を行っていきます。一方、定期健診時に歯科衛生士が行うお手入れでは、歯のクリーニングと、経過観察部位の変化の確認がおもな目的になるため、ルーペの使用を徹底する、という具合に、それぞれの装置の特徴やメリットを活かし、必要に応じて使い分けております。
※ただし、当院では、歯科衛生士の経験に応じ、現在、マイクロスコープを扱うための技術指導も進めております。
2)マイクロスコープを使用したら自由診療になってしまうのではないですか?
患者様の中には、「マイクロスコープ=自由治療」と思われている方もいらっしゃるようですが、当院では、マイクロスコープの使用に関し、保険診療と自由診療の区別は一切ありません。
そもそも当院にとって、マイクロスコープは、ないと治療ができないくらい大切な道具であり、日々、9割以上の診療にマイクロスコープを使用しています。
したがって、マイクロスコープによる治療を進めるにあたり、その工程や使用する素材(セラミックなど)に、より高いグレードを希望される場合にのみ、自由診療を選択していただくことになります。
3)マイクロスコープ診療をすると治療が長くなると聞いたのですが?
マイクロスコープ診療は治療に時間がかかる、と言われることがありますが、実際に使用している医師の立場からすると、むしろその逆ではないかと感じています。
確かに、マイクロスコープを使うと、裸眼では見えなかった部分まで精密に治療することになるため、一回の処置時間が延びるケースはありますが、治療の質が上がることで、確実に治療を進めていくことができるので、歯科治療にかける時間(期間)や通院回数を短縮し、患者さまのご負担を減らすことが可能です。
4)子供でもマイクロスコープ診療を受けることはできますか?
当院では、大人・子供の区別をせず、ほぼすべての治療にマイクロスコープを使用します。
子供だから精密な治療が必要ないというものではなく、むしろ大人の歯(永久歯)よりも小さい乳歯の方がマイクロスコープを使用する意義が多いとも考えられます。
ただし、小さなお子さまは、歯科治療自体が苦手な場合も多いため、当院では、まず、お子さまの年齢に合わせた方法で通院に慣れていただき、落ち着いて治療が受けられる段階になってから治療を開始するようにしています。
5.院長からひと言
私は、大学卒業後すぐに、たまたま参加した学会でマイクロスコープによる歯科診療があることを知りました。その計り知れないメリットに気付き、診療に取り入れたいと思った私は、それ以来、マイクロスコープ診療の普及に取り組む歯科医の元で技術を習得し、経験を積むとともに、マイクロスコープの技術指導を行う数々のセミナー活動のお手伝いなども行ってきました。
マイクロスコープの導入には、多大な費用がかかります。また、操作にも高度な技術と知識、そして経験が必要になることから、日本国内のマイクロスコープ診療を行っているクリニックは、未だ数パーセントにすぎないのが現状です。
もちろん、従来の歯科診療が全て悪いという訳ではありませんが、残念ながら、裸眼やルーペだけで口内の状態を正確に把握することは難しいため、治療の精度はどうしても落ちてしまいます。
マイクロスコープを用いた精密な治療で、やり直しのリスクを減らすことができれば、歯の寿命を延ばし、長期に渡り、快適に使っていただくことが可能になります。
私は、マイクロスコープによる精密治療が日本に広く普及し、どこの歯科医院でも当たり前に受けられるようになって欲しいと願っています。
近年は、マイクロスコープ診療を受けるために、インターネットで調べて遠方から受診してくださる患者さまもいらっしゃいます。
当院では、マイクロスコープ診療を希望される全ての患者さまのために、これからも全力で質の高い精密な歯科治療を提供していきたいと思っております。