cavity

虫歯治療


虫歯は日本人にとても多い疾患です。なかでも成人の方に多く見られるのが特徴で、2016年の厚生労働省の調査*1によると、20歳以上の90%以上に虫歯(う蝕)があるという結果が報告されています。
*1平成28年歯科疾患実態調査

歯に痛みが出て、初めて受診される方も多いですが、実は、症状が出る頃には虫歯はすでに進行しています。時間が経つほど治療が難しくなり、治すのに時間がかかるため、「虫歯かな?」と思った時には、できるだけ早期に受診して治療を受けていただくことをおすすめします。

当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用し、裸眼では見つけることができない小さい虫歯から、歯の根の神経に及ぶ深い虫歯の治療まで、精密な治療を行うことが可能です。
痛みや腫れなどのつらい症状のある方はもちろん、虫歯の再発を繰り返している方や、できるだけ削らない虫歯治療をご希望の場合には、ぜひ当院にご相談ください。

1.虫歯治療とは?


歯の構造は、「エナメル質」とその内側にある「象牙質」、そして歯の神経である「歯髄(しずい)」の大きく3つの部分から成り立っています。
虫歯は、「ミュータンス菌」「ラクトバチラス菌」といった口の中にいる細菌が作り出した酸が、歯の表面を覆う硬いエナメル質を溶かし、穴を開けてしまう病気です。
元々の歯質や歯並び、口内の細菌数、唾液量など、虫歯の発症にはさまざまな要因がありますが、歯磨き不足による口内環境の悪化、間食が多い、偏食、不規則な生活といった日常の生活習慣や健康状態なども発症に深く関わっています。

初期の虫歯には特別な自覚症状はありませんが、少しずつ進行するにつれ、冷たいものや熱いものなどで歯がしみるようになり、虫歯が神経(歯髄)まで達すると、激しい痛みや腫れを伴います。
重症の虫歯になると、歯質のほとんどが失われ、神経も壊死(えし:組織の細胞が死んでしまう)するため、最終的には抜歯が必要になります。

虫歯は、一度発症してしまうと自然に治るということはありません。そのため、虫歯の治療では、できるだけ早い段階で虫歯を発見し、進行を抑えることが重要なポイントになります。
当院では、虫歯の早期発見と、再発を予防するため、マイクロスコープを用いた治療を行っています。マイクロスコープは、患部を拡大して観察できることから、裸眼では見つけることができないミクロの虫歯も発見することができるのが大きなメリットです。また、細部まで精密な処置を行うことで、虫歯の再発するリスクを抑え、ご自身の大切な歯の維持に役立ちます。

図:歯の構造

虫歯のセルフチェック

以下のような症状が見られる方は、すでに虫歯が進行している可能性があります。
放置しているとさらに悪化してしまうため、できるだけ早期に受診することをおすすめします。

  • 歯がしみる
  • 歯が痛い
  • 歯に穴が開いている、欠けている
  • 歯の色が黒ずんでいる
  • 歯の色が濁っている

2.虫歯の進行段階と症状

虫歯は、進行段階によってCO~C4という種類に分けられ、それぞれの段階によって症状が異なります。

初期虫歯:CO(シーオー)

歯の外側にある硬いエナメル質の表面が溶け始め、白く濁って見えるようになります。
虫歯の一歩手前の状態で、まだ歯に穴は開いておらず、痛みもありません。
症状がないため、虫歯に気付くことは難しいですが、この段階で見つけることができれば、適切な歯磨きとフッ素の塗布を行うことで、進行を防ぐことが可能です。

図:虫歯の進行段階

エナメル質の虫歯:C1(シーワン)

エナメル質がさらに溶けると、歯に小さな穴が開き、黒ずんで見えるようになります。冷たいものなどを摂った時に多少歯がしみる程度で、痛みを感じることはまだありません。
治療では、虫歯になったところを削り取り、詰め物をして修復する治療が必要になります。

図:虫歯の進行段階

象牙質に及ぶ虫歯:C2(シーツー)

エナメル質よりも内側にある象牙質に及んだ虫歯です。象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、進行が早いのが特徴です。虫歯が神経(歯髄)に近い象牙質に達すると、冷たいものや甘いものがしみるほか、時々、痛みも出るようになるため、この時点で虫歯に気付く方が多いです。
C1と同様に、虫歯部分を削り取り、詰め物をする治療を行いますが、虫歯が大きく、詰め物や被せ物の型を取る必要がある場合には、数回の治療が必要です。

図:虫歯の進行段階

神経に達する虫歯:C3(シースリー)

虫歯が深くなり、神経(歯髄)まで達すると、熱いものがしみるようになるほか、何もしなくてもズキズキとした強い痛みが出ます。細菌に冒された神経を取り除き、根管内(歯の根)をきれいに殺菌してから、被せ物で歯を修復する「根管治療」が必要になります。

図:虫歯の進行段階

歯根に達する虫歯C4(シーフォー)

虫歯の最終段階で、感染が歯の根に広がると、大部分の歯質は溶けてなくなります。神経が壊死してしまうと、今まであった激しい痛みは消失しますが、歯の根の先端に膿が溜まると再び痛みが出て、強い口臭を伴うようになります。重症の虫歯になると、歯茎や周囲の歯に感染するリスクがあることから、抜歯が必要になるケースが多くなります。

図:虫歯の進行段階

3.虫歯治療の種類

虫歯の治療は、虫歯ができた部位、大きさ、深さ、神経に及んでいるかなどで、治療内容や治療にかかる期間が異なります。
それぞれの治療には、保険診療と自由診療があり、患部の状態、患者さまのご希望などを考慮しどちらの治療を行うかを選択していただきます。
保険診療は、費用を抑えられるのがメリットですが、最低限の機能を回復することが目的になるため、使用できる材料や治療内容が決められています。
一方、自由診療では、より高性能な材料などを使うことから費用は上がりますが、機能の回復に加え、仕上がりの美しさや耐久性を高めることができるのがメリットです。

詰め物・被せ物の治療

C1やC2の軽度の虫歯に行う治療です。
虫歯になった部分をきれいに削り取ってから、穴の開いたところに、詰め物(インレー、アンレー)や被せ物(クラウン)をして修復します。
保険診療では、「コンポジットレジン」という白い樹脂(歯科用プラスチック)やメタル(銀パラジウム合金)で修復を行いますが、自由診療では、審美性と耐久性に優れた「ダイレクトボンディング(レジンにセラミックスを混ぜた修復材)」やセラミック、ゴールドなどをお選びいただくことが可能です。
小さな虫歯は、削った部位に直接、修復材を埋めて修復するので、1回の処置で終わりますが、虫歯が大きい場合には、詰め物や被せ物の型を取るため、3回程度の治療が必要になります。

根管治療

歯の神経(歯髄)に達するC3以上の虫歯に行う治療です。
虫歯に冒された歯質や神経を取り除き、神経の入っていた根管内を消毒した後、基礎となる土台を作って被せ物(クラウン)でフタをします。
保険診療の場合、レジンまたはメタルで土台や被せ物を作成しますが、自由診療では、ファイバー(ガラス繊維強化樹脂)で土台を作り、その上にセラミックなどの被せ物を行うことで、耐久性・審美性を高めることが可能です。根管治療は、根管内がきれいになるまで繰り返し治療を続ける必要があり、当院では2~5回程度の通院が必要になります。

義歯・ブリッジ・インプラントの治療

歯質がほとんどないC4の虫歯で、周囲の歯や歯茎などに感染を広げてしまう恐れが高い場合には抜歯になる可能性が高くなります。
抜歯後は、失った歯の機能を取り戻すために、義歯(入れ歯)やブリッジ(連結冠:周囲の歯に連結させる被せ物)、インプラント(人工歯根)の治療を行います。
保険診療の義歯(部分入れ歯・総入れ歯)は、レジン製で金属のバネ(留め具)になりますが、自由診療になると、金属床義歯、シリコン製義歯、ノンクラスプデンチャー(バネのない義歯)など、さまざまな種類があり、より自然の歯に近い嚙み心地の義歯を作成することが可能です。
ブリッジの場合も、保険診療では、レジンまたはメタル製になりますが、自由診療ではセラミックやジルコニアなどで作成することが可能です。
近年増加しているインプラント治療は、取り外す必要がなく、自然の歯と同じ感覚で使えるのがメリットですが、保険適用がないため、すべて自由診療となります。メーカーによって材質や形状が異なるため、医師と相談の上、患者様に最も適した製品を選択します。

4.当院の虫歯治療の特色

当院の虫歯治療には以下のような特色があります。

早期発見が可能

当院では、保険・自由診療に関わらず、治療の精度を上げるためにマイクロスコープを使用しています。
口内を3~30倍に拡大し、ライトで明るく照らし出すことで、裸眼では見つけることができない小さな虫歯も見つけることができ、早期の段階で治療をすることが可能です。

正確な処置で歯質を最大限残せる

マイクロスコープを使用すると、虫歯になった部分と健康な部分の境目がはっきり分かるようになります。虫歯部分だけを正確に削り取ることができるので、歯を削り過ぎてしまう心配がなく、大切な歯質を最大限残すことが可能です。抜歯が必要と言われた歯でも、マイクロスコープで精密な根管治療を行うことで、抜かずに残せるケースもあります。

精密な処置で再発のリスクを抑える

詰め物や被せ物と歯の間にわずかな隙間があると、そこから細菌が入り込み、虫歯が再発するリスクが高くなります。マイクロスコープを使用すると、細部まで緻密な調整をすることができ、余分な隙間が生じないため、再発による二次虫歯のリスクを抑えることが可能です。

画像を使った丁寧な説明

マイクロスコープは、治療時の様子を録画・記録することができます。
当院では治療後に、録画した画像をご覧いただきながら、処置の内容を詳しく説明させていただきます。その日にどのような処置を行ったかを深くご理解いただくことができるので、患者さまからも好評をいただいております。

5.Q&A

1)マイクロスコープを使用すると費用が高くなりそうで心配です……。

当院では、保険診療と自由診療の区別なく、ほとんどの治療にマイクロスコープを使用します。
虫歯治療で、審美性や耐久性などを考慮し、より品質の高い材質のものを希望される場合には、自由診療となりますが、マイクロスコープを使用することで、特別な費用がかかることはありませんのでご安心ください。

2)毎日、歯磨きをしているのに虫歯になってしまうのですが?

しっかり歯磨きをしているつもりでも、磨き残しがあるとそこから虫歯は発生します。
磨き残しをできるだけ無くすためにも、歯ブラシが届かない歯と歯の間は、歯間ブラシやフロスなどを併用して丁寧に磨くことが大切です。
それでも毎日の歯磨きだけで完全に虫歯を予防することは難しいため、当院では3か月に1度の定期検診時に、歯科衛生士によるクリーニングを行っております。
定期的に検診を受けていただくと、歯の健康状態をしっかりチェックすることができ、万一、虫歯が見つかっても、早期に治すことできるのが大きなメリットです。
ご自身の大切な歯を守るためにもぜひ定期的に検診を受けていただくことをおすすめします。

6.院長からひと言

虫歯になってしまった歯には、そこに及ぶまでの原因が必ずあります。検診でみつかった虫歯を単に治療するだけではなく、その原因をつきとめて、説明することでまた同じことにならないようにするのが重要です。当院では、食生活、ブラッシング方法など虫歯が根本的にできる原因から治療を行います。また、虫歯を完全に除去してから治療を行えば、再発は少ないと考えられますが、全ての虫歯を歯科医の無理なのぞき込む体勢や暗くて唾液が入る状態で取りきれない場合もあると思います。そういったエラーを極力なくした状態で治療を行えるのが、マイクロスコープを用いた虫歯治療です。是非、虫歯を根本的に治療するお手伝いをさせてください。

あと、最初のほうに 歯髄(神経)を残す治療をしてるという説明も入れてほしいです。
虫歯が深ければ、神経をとらなければならない訳ではなく、神経保存治療も行っています。ほとんど自覚症状がない状態で、たまたま歯科検診で大きな神経に及ぶ虫歯が見つかると
神経に近いから、神経をとりましょうと言われることもざらですが、残せる場合もありますので、是非当院にご相談ください。