ラバーダム防湿って聞いたことありますか?
こんにちは。
文京区関口にある江戸川橋菊地歯科医院です。
今回は、「ラバーダム防湿」について説明します。
ラバーダム防湿とは?
ラバーダムという単語を耳にしたことがある患者さんは、少ないかも知れません。ラバーは『ゴム』ダムは『河川などの水を溜めておくダム』という意味で、ゴムのシートを用いて水や歯を削った粉末、治療中に使用する薬剤が、お口の中に漏れ出さないようにするための治療補助器具です。
米国において1860年代から使用され始めたもので、一見最新の画期的な材料というイメージがありますが、その歴史は長いです。最近国内の勉強会や学会においても、歯科治療におけるラバーダムの有用性が注目され、ラバーダムを治療に応用する歯科医師が増えてきています。また患者さんから『治療でラバーダムを使ってますか?』という問い合わせも増えてきています。
なぜラバーダム防湿を行う必要があるのか?
歯科治療において、ラバーダムが使用されることが多いのが、根管治療を行う場合です。根管治療では唾液に含まれる細菌をいかに排除し、使用する強力な薬剤が患者さんのお口に誤って漏れないようにすることが、非常に重要です。ラバーダムはその両方を実現してくれるため、根管治療では必須の器具なのです。
また虫歯の治療を行う際、レジンという樹脂のような材料を使用することがよくあります。レジン自体には、歯に接着する能力がないため、歯科治療では必ずと言っていいほど、材料を歯に接着する際に接着剤を歯の表面に塗っています。その接着剤を歯に塗る際、唾液が大量に付いた状態で塗る場合とラバーダムで防湿を行い限りなく歯の表面を乾燥させた状態で塗る場合では、確実に後者の方が接着する力が増します。そのような一手間を治療に応用するだけで、行った治療が長持ちするのは言うまでもないでしょう。
なぜラバーダムは普及しないのか?
ラバーダムを歯科治療に用いるメリットは多いものの、実際にどのくらいの歯科医師が治療中にラバーダムを使用しているかというと、わずか5.4%程度しかいないという報告があります。
また、米国では根管治療時に約90%の歯科医師がラバーダムを使用しますが、日本では約25%の歯科医師しかラバーダムを使用していません。
普及が伸び悩む要因として、1、ラバーダムは保険点数にならない 2、ラバーダムをやったことがない 3、やらなくても治療はできる 4、コストが高い などいくつかの理由があります。その中でも、日本の根管治療の治療費は海外と比較すると非常に安価であり、米国の10~15倍、シンガポールの6~8倍も低いため治療する上でマイクロスコープやその他の器具を使って治療を行うと採算が取れなくなることもあります。ラバーダムを患者さんのお口に装着するためには、技術力も必要なので使用する歯科医師が増えない理由は様々です。
まとめ
ラバーダムを歯科治療に用いることのメリットは計り知れません。その中でも、『長持ちする治療』、『治療のやり直しが少なくなる』、『患者さんへの安全性』が当院が最も患者さんに強調したいポイントです。当院では根管治療を行う際、ラバーダムを100%使用しています。
ラバーダムを使用する小さな一手間が、やがては長期的にお口の中で機能していく大切な歯の寿命が1日でも長くなる要因であると確信し、今後とも治療を行って参ります。
今回もここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。